この先の尖った道具はトビ口(トビろではなくトビぐちです。)といいます。
棒の先に金属が付いただけのものですが、消防の活動ではなくてはならないものです。
そもそもなぜトビ口というのかというと、金属の部分が鳥の鳶(トビ)のくちばしに似ていることから名づけられました。そう言われるとなんだか鳥のくちばしのように見えてきませんか?
しかも、このトビ口は江戸時代からあります。
江戸時代の火消し(現代でいうところの消防士)は、火災が起こると今のように水道などが整っていないため火を消すときに水をかけ続けることが難しい状況でした。ですが、何とかして火が付近の家に燃え移っていくのを防がなければなりません。
そこで江戸の火消したちはある手段にでます。
なんと、まだ燃えていない隣の家を壊すのです。家を壊すことで燃えるものを取り除き、火が隣の家に移って被害が大きくなってしまうのを防ぎました。
この消火の方法は破壊消火(破壊消防、除去消火法とも)と呼ばれ、この消火のとき家を壊すのに使われたのがトビ口なのです。
今では家をすべて取り壊すような方法は取りませんが、現在でもトビ口は使われています。
どんなときに使うのかというと、建物の火を消すときに窓ガラスが邪魔で中に放水できないときにガラスを破壊したり、燃えてしまったものをどける時に素手では危ないのでトビ口を使って物を取り除いたりするときに使います。
昔とは消火方法がまるで違うためトビ口の出番は少なくなりましたが、隊員が安全に活動するために今でもなくてはならない道具です。
そんなひっそりと出番を待っているトビ口ですが、消防車によって乗せてある場所が違います。